夏もおわり
救命センター医師の山口です。
すっかり涼しくなってきました。
暑かった夏ももう終わりです。
今年の夏は熱中症の方が昨年よりもたくさん来院されました。
熱中症は軽症から重症までいろいろです。
この中でもっとも重症がⅢ度の熱中症です。
生きるか死ぬかといった状態です。
意識がなく、からだが触るととても熱く、
肝障害や腎障害などをともなっています。
今年はそのような重症熱中症が7名来院しました。
うち4名はマラソン大会の参加者です。
近隣でマラソン大会がいくつも開催されています。
あいにく今年は大会日に気温が上昇したのが原因です。
幸いにもみなさん後遺症なく退院できました。
治療の基本はとにかく、すばやくからだを冷却すること。
ヒトのからだはタンパク質でできていますから、
熱で半熟卵になってしまったらもう元へは戻りません。
私たちの救命センターで使用している冷却用の機材をご紹介します。
うちわ、扇風機、霧吹き(園芸用)、青いプールです。
あまり高額なものがないのですが、有効に使用しています。
霧吹きでからだに水をかけながら、扇風機で風をおくります。
同時に冷やした点滴を勢いよく点滴することで、体温が下がってきます。
意識がなかった患者さんがはっきり目を開け、言葉を話せるようになってきます。
もっと重症のかたにはこんな方法もあります。
青いプールには水をはって、氷をたくさん入れます。
この中に患者さんを入れて冷却します。
1回だけ使用しました。
あっという間に氷がとけてなくなってしまいました。
からだがとても熱かったということです。
読者のみなさんも来シーズンは熱中症に注意してください。
十分な水分補給や涼しいところでの休息は大切です。