消化管間質性腫瘍(GIST)は胃や小腸に多く発生する腫瘍で、治療の第一選択は手術による切除です。リンパ節切除の必要ない局所切除術を行うので、腹腔鏡手術の良い適応といえます。しかし、通常の腹腔鏡下胃局所切除術では胃の変形が強くなることや、胃後壁や食道近くの病変の切除が難しいことが課題となっていました。そのような問題点を解決するために、内側からの内視鏡的切除と腹腔鏡下切除を併用した術式(LECS法)が開発されました。LECS法は切除が難しい場所の腫瘍でも、最小限の範囲で切除できる理想的な手術です。また、リンパ節切除を必要とない早期胃がんにも対応できます。当科では、2017年より消化器内科の医師と協力して、LECS法を行なっています。
LECS法は胃がんの腹腔鏡手術よりもお腹の創の数は少なくなります。胃の切除範囲も小さいため、術後2日で食事を開始し、術後5日程度で自宅退院が可能となります。退院後は食事や仕事などの制限は特に必要なく、今まで通りの生活にお戻りいただけます。LECS法は保険適応となっており、通常の健康保険や高額医療費制度で対応できる治療法です。