腹腔鏡下直腸脱手術

直腸脱とその治療

直腸脱は高齢の女性の患者さんにおこりやすい病気で、粘膜が伸びて脱出している状態から骨盤の筋肉による固定が緩み、直腸が直接外に出っ張ってきた状態まで症状は様々です。手術治療には会陰から(経肛門法)と腹腔内から(経腹法)の2通りのやり方があり、患者さんの状態によって使い分けています。当院では経腹法での治療は腹腔鏡を用いて施行しています。

腹腔鏡下直腸脱手術と術式の工夫

全身麻酔した後に、お臍周囲に4か所の小さな穴をあけ、そこから腹腔鏡と鉗子を挿入します。緩んだ腸管の固定を一度剥離授動したのちに、腸管を頭側に引き上げて、人工筋膜を用いて固定することが手術の概要です。開院当初から、直腸の背面を浮かせ、引き上げて固定する方式(Wells法)を施行していましたが、2020年に自律神経付近の操作による術後便秘が起こりにくい方法とされている ventral rectopexy法(直腸前壁を引き上げて固定する方法)を導入しています。

術後の経過と日常生活

手術翌日から食事摂取可能で、順調であれば3~5日程度で退院可能となります。術後の食事や運動の制限は特になく、安心して日常生活に戻っていただける治療法です。

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