乳房センチネルリンパ節シンチグラフィ・染色

乳がんとリンパ節転移

乳がんでは、がん細胞がリンパの流れに乗って同側の腋窩(えきか:脇の下)リンパ節に転移する可能性があります。そのためがんを確実に切除する目的で乳房と一緒に腋窩リンパ節を切除する、腋窩リンパ節郭清(かくせい)を行ってきました。しかし切除したリンパ節を病理組織診断(びょうりそしきしんだん:顕微鏡で調べる)で転移の有無を調べると、実際に腋窩リンパ節に転移している方は約4割であり、結果として約6割の方は切除する必要のないリンパ節を切除していました。また腋窩リンパ節郭清を行うと、リンパ浮腫と呼ばれる上腕の浮腫や、上腕の痛み・知覚障害・運動障害をきたすこともあります。

センチネルリンパ節生検とは

そこで患者さんの負担を可能な限り軽減するため、不要な腋窩リンパ節郭清を省略する目的で「センチネルリンパ節生検手術」が開発され、世界中で実施されています。センチネルリンパ節とは、腋窩リンパ節の中でがん細胞が最初に到達すると考えられているリンパ節です。このリンパ節をまず手術中に探して摘出し、術中に迅速病理組織診断を行います。ここに転移が見つからなければ、そこから先のリンパ節への転移はないと判断して腋窩リンパ節郭清を省略できます。

より高い精度を求めて

当院ではセンチネルリンパ節検出の精度を高めるために、2種類の方法を併用しています。

(1)ラジオアイソトープ(RI)法:手術前日に、腫瘍の周りに微量の放射性同位元素(RI)を皮下注射します。その物質がリンパの流れに乗ってセンチネルリンパ節に集まります。それを手術中に検知器を用いて探します。

(2)ICG蛍光法:手術時に蛍光色素(ICG:インドシアニングリーン)を腫瘍の周りに皮下注射します。赤外線カメラを用いてリンパの流れに乗ったICGをリアルタイムで追跡し、センチネルリンパ節を検出します。

写真を提示しておりますので、ご参照ください。

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