画像下治療(IVR・血管)

画像下治療(IVR・血管)とは

画像下治療(IVR・血管)は血管造影とも呼ばれ、X線と造影剤を用いて体中に張り巡らされた血管網を描出し、様々な検査や治療を行います。当院では、最新鋭のDSA(Digital Subtraction Angiography)装置(図1)を用いて画像処理を行い、私たち消化器内科は腹部・骨盤領域の疾患の治療を担当します。

図1:Digital Subtraction Angiography装置

さまざまな病態に対応します

血管は動脈、静脈、門脈という3種類に大別されます。多くの場合、腹部・骨盤領域の動脈へは、太ももの付け根近くに局所麻酔を行って大腿の動脈からカテーテルと呼ばれる細い管を入れてアプローチします。事故や手術、潰瘍などの病気によって傷ついた動脈からの出血に対する止血(図2)、動脈瘤などからの出血予防、抗がん剤の投与や塞栓(血液の流れを止めて酸素や栄養の供給を断つ)によるがんの治療(図3)、ホルモンを分泌する腫瘍の位置を確認するための負荷試験などを行います。

また、肝硬変などが原因で門脈の圧力が亢進する門脈圧亢進症になると、血液が門脈から食道や胃などの静脈に逆流し大出血や肝性脳症を引き起こしたり、脾臓が腫大して血球成分(白血球、赤血球、血小板)の減少を招いたりする場合があります。動脈・静脈から直接門脈には到達できないため、頸(首)、あるいは大腿の静脈からカテーテルを挿入し、静脈内で風船を膨らませて逆流を防ぎながら門脈の血液を固めたり(図4-1)、肝臓を経由して直接門脈の逆流を止めたりします(図4-2)。また、脾動脈の一部を塞栓(図5)することで血球成分を増加させたり、肝疾患の診断目的に静脈から血管内の圧力を測定したりもします。

図2:動脈からの出血に対するコイルによる止血
図3:肝細胞がんに対する肝動脈化学塞栓術
図4-1:バルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術
図4-2:経皮経塞栓術
図5:部分的脾動脈塞栓術

身体への負担が少なく高い効果

治療には、抗がん剤や血液を固めるための様々な薬剤、コイルと呼ばれる金属や油滴、ビーズなどの塞栓物質を単独、あるいはそれらを組み合わせて用います。動脈からカテーテルを挿入した場合、カテーテルを抜去後に挿入部からの出血を防ぐため3時間から5時間、穿刺部を強く圧迫して安静を保っていただきます。画像下治療(IVR・血管)は、カテーテルの挿入に伴う血管損傷や血栓・塞栓物質による血流障害、安静で引き起こされる肺塞栓症などの合併症を生じさせる場合もありますが、身体への負担が比較的少なく高い効果が得られ、当院では上述したような病態に対して第一選択としています。

よくアクセスされるページのご案内