腎臓の腎盂や尿管に腫瘍(癌)がある(腎盂癌・尿管癌)場合に腎臓・尿管・膀胱の一部をつけて摘出する手術が必要です。
腹腔鏡下腎尿管全摘除術は腎臓・尿管・膀胱の一部をつけて一塊にして摘出する手術です。全国のほとんどの施設は腎臓を腹腔鏡下手術で摘除し、開腹(お腹を開けて)で尿管と膀胱の一部を摘除します。当科は腎臓・尿管・膀胱の一部をつけて一塊にして摘出する腹腔鏡下腎尿管全摘除術を全て腹腔鏡手術で行う全国でもごく少数の施設です。それによりお腹の5cmほどの傷で手術をすることができます。腹腔鏡手術は少ない手術侵襲で行うために腹腔鏡(細いカメラ)と特別な道具を用いて小さな傷で行います。腹部に5〜6か所の小さな穴をあけ、筒状の器械を入れます。そこからカメラと手術器具を挿入して炭酸ガスでお腹をふくらませ(気腹)、手術を行います。腹腔鏡下腎尿管全摘除術ではまず腎臓へつながる動脈、静脈を手術用クリップではさんで切断します。腎臓を遊離し、その後尿管を膀胱の一部をつけて体の外に摘出する手術です。腎臓尿管は体の中の深いところにある臓器なのでこの手術の最もよい適応と考えています。
なお、腎盂癌・尿管癌は手術を行う前に術前抗がん剤治療が有効です。当科では適応のある場合に術前抗がん剤治療を行います。また、最近は免疫療法が開発されてきています。
腎癌に対しては、放射線療法やいわゆる抗癌剤療法は有効ではありません。分子標的治療や免疫療法は転移のある腎腫瘍に対して有効で、開発が盛んに行われています。当科では新しい治療法を積極的に取り入れています。